胆は人件費
宿泊ビジネスの収益性を向上させるためには、営業費用の多くを占める人件費率をいかに効率化するかが重要だ。星野リゾートの星野佳路社長も、同じ点に心を砕いているという。
その解として星野社長が重視するのは「従業員のマルチタスク(多業務対応)化」だ。
「従来型の日本旅館は、『専門家』が多い縦割り構造の分業体制という課題を抱えている」「そのため従業員の手待ち時間が長く、(たとえば昼間に一度帰宅して夕方に再出勤するような)非効率な『中抜きシフト』も珍しくない」という。
課題を解消するため従業員に幅広いスキルを身に付けてもらえば、利益率の大幅な向上につなげられる。「そうすれば『日本旅館』を海外で成功させることもできる」というのが、星野社長の持論だ。
「ロボットの大量導入」と「従業員のマルチタスク化」、「ファミリー路線」と「高級志向」。手段や路線は大きく異なるが、効率化によって収益性を高める狙いは変わらない。
と同時に、日本のサービス業が個性を武器に世界へ打って出るという野望も、澤田社長と星野社長の共通項といえそうだ。