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栃木県北部の大田原市黒羽田町にある曹洞宗の名刹(めいさつ)、大雄寺(だいおうじ)。この寺には江戸時代から伝わる一幅の掛け軸とともに、そこに描かれている幽霊にまつわる怪談が語り継がれている。
幽霊は白装束姿の老女で、長い髪をおどろに振り乱し、大きなまなざしで恨めしそうにこちらを見つめる。「枕返しの幽霊」と呼ばれている。
同寺によると、言い伝えはこうだ。江戸時代、八溝峠を越えて隣の町から行商人が黒羽城下にやってきた。商売に精を出し、気付くと日も暮れ、宿を探すが、どこもいっぱい。途方に暮れていると、町の人が大雄寺を紹介した。寺に頼み、一夜の宿を借りることになった。住職に通されたのは庫裏(くり)の「牡丹(ぼたん)の間」。