政府のまち・ひと・しごと創生本部(本部長・安倍晋三首相)は2日、中央省庁の地方移転に関し、消費者庁が徳島県に、総務省が和歌山県にそれぞれ一部の新拠点を置くなどの方針を決めた。京都府への全面移転が予定されている文化庁については、「地域文化創生本部」(仮称)を平成29年度に開設し、一部業務を先行して移す。
地域文化創生本部は、京都府・市の職員も含む30人規模で、文化や芸術を生かした地域活性化策の立案などを行う。文化庁の全面移転に関しては、関連法案を30年をめどに国会に提出する方針を決めたが、具体的な移転の時期は明示しなかった。
消費者庁の出先機関「消費者行政新未来創造オフィス(仮称)」は29年度に30〜40人規模で開設し、消費者政策の分析や立案を行う。消費者庁本体の移転に関しては判断を見送った。総務省統計局の拠点「統計データ利活用センター(仮称)」は、外部の研究者らにデータを提供する機関で、30年度から業務を開始する。
関連費用として、29年度予算案の概算要求に文化庁22億円、消費者庁7億2千万円、統計局1億円が計上されている。
一方、すでに移転見送りが決まっている特許庁、中小企業庁、観光庁、気象庁については、現在ある出先機関を地域ごとに統合するなど、拠点の機能を強化することで対応する。
菅義偉官房長官は2日の記者会見で「中央省庁の事務を東京以外でも行う前例のないものについて、具体的な方向性を示すことができた」と述べた。