米軍の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル」(THAAD)配備を巡って韓国が揺れている。ミサイルとセットで配備される探知レーダーによって中国上空の軍用機利用状況が詳細に判明するため、中国が大反対しているからだ。加えて配備が決まった地域の住民は「農作物がレーダーの電磁波で不作になる」などと反対デモを実施する始末。この状況を打開しようと、韓国軍は突飛な作戦を実施した。果たしてその「メロン作戦」の行方は…。(岡田敏彦)
マクワウリの町
韓国で「メロン」とはマクワウリのことを指す。マスクメロンなど本物のメロンは技術的に栽培が難しいうえ、朝鮮戦争後は長らく極貧状態にあった韓国の一般国民には、メロンなどというぜいたく品は全く縁がなかった。そんななかで安価な黄色のマクワウリをメロンと呼んできたという歴史がある。
このマクワウリ(韓国名メロン)の韓国最大の産地が慶尚北道の星州(ソンジュ)郡という地域。米国がTHAADを配備しようとしている場所だ。
韓国の「郡」は日本で町村規模とされ、星州郡は人口約4万6000人。その星州の目抜き通りにはいま、THAAD反対の横断幕が掲げられている。
韓国国防省が7月13日にTHAADを星州郡に配備すると決定した直後の15日、黄教安(ファン・ギョアン)首相と韓民求(ハン・ミング)国防副長官が星州郡を訪れたが、韓国通信社の聯合ニュースなどによると、「予め申し上げられなかったことを恐縮している」と謝罪する2人に対し、怒り心頭の住民たちが生卵やペットボトルを投げつける事態に発展。