浪速風

信玄に学ぶ治水と防災

武田信玄は治水でも名高い。甲府盆地は古くから釜無川、御勅使川などの氾濫原であった。信玄はまず「将棋頭」と呼ばれる石積みで御勅使川の流れを変えた。さらに合流した釜無川に不連続な堤防を築き、堤防の間からわざとあふれさせて洪水のエネルギーを分散させた。「信玄堤」である。

▶台風10号による記録的な大雨で、岩手県岩泉町を流れる小本川が氾濫して高齢者グループホームに流れ込み、入所者9人が亡くなった。流木が建物を押しつぶさんばかりに積み重なり、一気に増水した濁流のすさまじさがうかがえる。想定外の豪雨だったのだろうが、避難の遅れが悔やまれる。

▶北海道でも各地で河川が氾濫した。現代の治水は、上流にダムを建設したり、高く、長い堤防を設けて水を封じ込めようとする。が、自然は時に危険水位を定めた人智を超える。避難も杓子(しゃくし)定規に基準に従っては後手に回る。信玄の柔軟な発想が必要ではないか。今日は「防災の日」。