海底資源 「燃える氷」の真相(上)

「中国が南シナ海に原発を造るらしい」出張先の北京でこんな情報を耳にしたのは昨年末だった…

 メタハイ開発をめぐる中国の技術も進歩しているとみられる。

 青山氏は2年前、北京で開催された国際学会での中国の研究発表に驚いた。堆積物に含まれる水分に光を照射してメタンがどれくらい含まれているかを推定する資源評価を即座に行うという機器の開発だった。

 通常は海底から堆積物を採取し、船上や研究室で分析するが、青山氏は「その場でレーザーをあてるだけで、メタハイかどうかがわかるなんて、世界のどこもやっていない。もし開発に成功すれば、中国の海洋膨張はさらに進む」と指摘する。

 日本のメタハイ研究者は「私たちが先陣を切っているのは間違いない」と余裕を見せる。しかし、中国による海底資源の調査・開発は領有権をめぐる紛争や安全保障環境への脅威と紙一重だ。政府機関と国際動向を注視している研究者の連携など、新たな情報収集体制の確立が急務となっている。

 「燃える氷」と呼ばれるメタンハイドレートの開発で日本はトップを走っているといわれる。日本を追う周辺国の動向、わが国の開発の行方を探る。(編集委員 斎藤浩)

【用語解説】メタンハイドレート(Methane Hydrate)

 ハイドレートは「水和物」の意味で、低温高圧の環境下でメタン分子と水分子が結合して生成する氷状の物質。1立方メートルの分解で、160~170立方メートルのメタンガスが得られ、火力発電や都市ガスへの利用が期待されている。

 日本では平成13年から、太平洋の「東部南海トラフ」で国家プロジェクトとして研究開発が行われており、25年に海底から天然ガスの採取に世界で初めて成功。同トラフで国内の年間ガス消費量(23年)の約11年分があるとしている。

 世界の大洋の周辺に分布している。中国は2007年、米国、日本、インドに次ぐ4番目の採取国となった。石油・天然ガスのように自然に噴出しないほか、集積度の高い含有層が広域分布する場所を探し当てる必要があり、各国とも商業生産では開発技術と膨大なコストが課題だ。

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