海底資源 「燃える氷」の真相(上)

「中国が南シナ海に原発を造るらしい」出張先の北京でこんな情報を耳にしたのは昨年末だった…

 南シナ海は近年、石油・天然ガスといった海底資源が有望視されている。注目されているのが次世代エネルギー資源のメタンハイドレート(メタハイ)だ。中国は南シナ海のメタハイ研究を「973計画」といわれる国家重点基礎研究発展計画に組み入れている。

 推定では南シナ海に原油換算で680億トンあるとされる。外観が氷のようで火をつけると燃えるため、中国語では「可燃氷」と表記される。二酸化炭素排出量が石炭、石油に比べて少ない「クリーンエネルギー」としても知られる。

 中国の人口13億人を支える上で資源エネルギー開発は、持続可能な発展に不可欠だ。中国出身で海洋と資源・エネルギーが専門の段烽軍氏(47)=キヤノングローバル戦略研究所主任研究員=は「景気減速とはいえ、中国は世界の工場であり、エネルギー消費量が増加する一方で、PM2・5による大気汚染が進む。実用化できるのか、コストはどうか…。わからないことばかりだが、中国のメタハイへの期待は大きい」と話す。

 中国のメタハイ商業化への目標は2030年。来年には海域での採掘試験を行う予定で、中国の一部メディアは「新たな発展段階に進む」と伝えている。

 海上原発を武器に、南シナ海における軍事力強化とメタハイ開発の二兎(にと)を追う中国。「火薬庫」と呼ばれる南シナ海に、さらなる緊張の糸が張り巡らされようとしている。

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