IT(情報技術)による経済成長を旗印とする2つの団体の微妙な関係に注目が集まっている。一つは、7月末に設立された、ヤフーの宮坂学社長が会長兼代表理事を務める「日本IT団体連盟(IT連)」。もう一つは、楽天の三木谷浩史会長兼社長が代表理事を務める「新経済連盟(新経連)」だ。ライバル企業のトップを代表とする団体だけに違いを強調するが、今後の連携も否定していない。ただ、両団体とも、人工知能(AI)など最先端ベンチャーの取り込みは十分とはいえず、ITを活用した日本経済の発展という大きな目標に向けて、課題は多そうだ。
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宮坂氏は7月22日のIT連の設立会見で、設立目的について、「IT関連団体の連合体として、わが国のIT産業の健全な発展に貢献するとともに、世界最高水準のIT社会の構築を目指すため、政府との双方向のコミュニケーションを実現しながら、積極的に提言等を行う」と説明した。
中でも特に宮坂氏が強調したのが、ITに関する人材教育だ。「IT人材が足りないというのは、全国津々浦々の小さな会社から大きな会社までみんな同じ問題を抱えている。ITを志す人を増やしていく」と述べた。
IT連の設立時の加盟団体数は53で、約5000の企業と約400万人が参加している国内最大のIT関連団体という。代表理事や理事には、「コンピュータソフトウェア協会」の会長や「全国ソフトウェア協同組合連合会」の副会長ら、ソフトウエア団体の幹部が主に就任している。