書評

『外資系運用会社が明かす投資信託の舞台裏』 普及への熱い思いあふれる

さらに外資系運用会社となると「隙あらば大切な虎の子をだまし取られる」とイメージする人さえ存するのではなかろうか。本書のタイトルは分かりやすい惹句(じゃっく)であり、帯のお金を殖やす工場見学へようこそには興味がそそられる。その内容は金融のプロにも読み応え十分の、骨太な投資信託の入門書だ。後半はディテールの濃さから専門書とも言えよう。全編を通じ「全てをさらけ出すことで投資信託を少しでも多くの人に知ってもらい、普及させたい」という熱い思いが貫かれている。資産運用を始めてみたいという人にはぜひお薦めしたい。

 本書のはじめにを書いたドイチェ・アセット・マネジメントの阿部託志会長は、評者が90年代に証券業界を舞台にした企業小説「巨大証券」「新巨大証券」を執筆したとき、証券業界の「いろは」を指南してくれた。本書が、わが国の投資信託分野に大きな一石を投じることを期待せずにはいられない。(ドイチェ・アセット・マネジメント資産運用研究所著/ダイヤモンド社・1500円+税)

 評・高杉良(作家)

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