【リオ五輪異聞】女子バド「銅」の奥原希望は「作法」と「品格」を世界に示した 90度腰を曲げる美しいお辞儀(2/3ページ) - 産経ニュース

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リオ五輪異聞

女子バド「銅」の奥原希望は「作法」と「品格」を世界に示した 90度腰を曲げる美しいお辞儀

 試合の興奮が冷めやらぬ中、奥原はシングルス4強の喜びをぐっと抑えて、コート上で直立不動の状態から90度腰を折り深々と礼をした。対戦相手の山口のみならず、審判や応援団、会場にいたすべての者に感謝と愛情を注ぐかのような美しい礼だった。

 日頃から「ルーティン」を大切にする奥原だが、このお辞儀もルーティン動作の一つであり、五輪の舞台だから特別に扱ったわけではない。準決勝で敗れた後、メダルをかけた3位決定戦では相手の中国選手がケガで棄権したため「不戦勝」で銅メダルを獲得、運も味方につけた。悲願のメダルは天からの授かりものといえた。

「勝利至上主義」に流されない

 「勝者を称え、敗者を敬う」精神は、五輪のような大舞台になればなるほど忘れられがちで、今大会でも稽古を通して立ち居振る舞いを仕込まれている柔道などの競技を除くと、派手なガッツポーズや床に寝そべって喜びを表現する日本人アスリートは少なくなかった。彼らと比べても、奥原の試合後の作法は謙虚さをたたえ、21歳という年齢に見合わないほど完璧に映った。

 十代の選手が台頭する競技団体では「勝利至上主義」に陥りがちで、心のあり方まで指導が及ばないという問題点もあるようだ。指導者も目に見えない心の部分を選手とともに考える存在でなければいけない。そもそも「美しい礼」は一朝一夕にできるものではない。日頃の練習を通して身体に刷り込んでいくしかない。