ステージ 芸

吉右衛門、襲名50年目の「秀山祭」 初代の型で大判事清澄

大化の改新の時代を舞台に、蘇我入鹿の悪政を描く王朝物で、対立する大判事清澄(吉右衛門)と太宰後室定高(さだか)(坂東玉三郎)それぞれの子である、久我之助(こがのすけ)(市川染五郎)と雛鳥(ひなどり)(尾上(おのえ)菊之助)の川を挟んだ悲恋物語。

「定高との個人対立に加え、入鹿という共通の敵もある中、若い者同士が愛し合うのがロミオとジュリエットといわれる由縁でしょう。入鹿退治のため、悩み抜き、子供の首を切るいちずさ。いつの時代もわが子を失う悲しみは同じということをお伝えしたいです」

昼の部は、15歳から演じ続け、今や当たり役となった「一條大蔵譚」の一條大蔵長成を演じる。「鬼一法眼(きいちほうげん)三略巻(さんりゃくのまき)」の一段で、こちらもシェークスピア劇の「ハムレット」に例えられる時代物の名作。平家全盛の時代、源氏に心を寄せる本心を隠し、作り阿呆(あほう)を装う大蔵卿の、阿呆と正気を自在に行き来する演じ分けが見どころで、秀山祭では初上演だ。

「ハムレットのような心境を取り入れた、初代の作り上げた型は十何回演じても、やればやるほど面白い。70歳になって、やっと余裕が出てきました。楽しんで演じることで出てくる味、というものを目指したいです」

円熟の芸を目の当たりにできる1カ月となりそうだ。9月1〜25日。昼の部は、ほかに「碁盤忠信」「太刀盗人」。夜の部は「らくだ」「元禄花見踊」。(電)0570・000・489。

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