ステージ 芸

吉右衛門、襲名50年目の「秀山祭」 初代の型で大判事清澄

中村吉右衛門
中村吉右衛門

当代中村吉右衛門(72)が二代目を襲名して50年。初代吉右衛門(1886〜1954年)の俳名を冠した歌舞伎座(東京都中央区)の「秀山祭九月大歌舞伎」で、14年ぶりに「吉野川」の大判事清澄(きよずみ)を勤める。日本版「ロミオとジュリエット」とも称される時代物の傑作。初代も演じた大役で、物語は若い男女の悲恋にとどまらず、親の苦衷、天下国家に広がるスケールを見せる。(飯塚友子)

「50年は早かったですね。時間に追われて追われて戦い続けた。振り返る時間もなく、私にとっては短い時間。前を見て、これからもやっていこうと思います」

今年は初代の生誕130年目でもある。節目が重なる秀山祭を前に、歌舞伎界を牽引(けんいん)する当代は、実の祖父で養父だった初代への敬意を一層、深めている。時代物を得意とした初代は役の幅も広く、人間国宝の当代をして、「初代が手掛けた芝居の3分の1もやっていない」と言わしめるほどだ。

初代を顕彰する今公演では、初代の得意演目が軸となる。当代は昼の部(開演午前11時)の「一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり) 檜垣(ひがき)・奥殿」と、夜の部(同午後4時半)の「妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん) 吉野川」に出演するが、注目は上演機会の少ない「吉野川」。仮花道が設(しつら)えられ、両花道を吉野川の両岸に見立て、客席を巻き込んだ演出が特徴的な大作だ。当代は今回、初めて初代の型で演じる。

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