水戸市にこんな言い伝えがある。大昔、今の同市大足(おおだら)町辺りの村にダイダラボウという大男が住んでいた。村の南側には高い山がそびえ、日陰になって作物が育たず、人々は貧しかった。
「この山がなければよかったのに」
村人の嘆きを聞いたダイダラボウは村人を喜ばせようと、山を北側に動かした。日は当たるようになり、作物もよく育つようになった。
ところが今度は、山を移動させたときにできた穴に水がたまり、雨が降ると村が水浸しになるようになってしまった。ダイダラボウは水が流れるように指で小さな川を作り、下流に沼をつくった。