湯浅博の世界読解

習近平の危険な挑戦とプーチンの野心 秩序を壊す国はその代償を払う

ユーラシア大陸の東と西で、民主主義の価値観を歯牙にもかけない大国が、力を乱用する狡猾(こうかつ)外交で周辺国を威嚇している。対外的な緊張を作り出し、その緩和を取引材料に有利な状況を持ち込むのは、全体主義にありがちな外交パターンである。

ロシアのプーチン政権は、クリミア半島を併合した上でウクライナ東部にも攻め入った。情勢が有利なうちに停戦合意を取り付けたのがその典型例である。もっとも、合意で禁止されたはずのロケット砲などの重火器は、いまも使っていると米紙ワシントン・ポストはいう。

ロシアは重火器を「前線から撤去する」との約束を平然と破り、軍用物資を流し込む。国内向けには、ロシアを陥れる「西側の敵対勢力」を打ち砕くとして正当化をはかっている。

米国のオバマ政権は、これら明白な合意違反に代償を払わせることができない。その不作為が、国際秩序の崩壊を早めることになるだろう。現行秩序の書き換えを狙う中国が、これを「オバマ弱し」とみれば、秩序への挑戦に拍車がかかる。