高層ビルが建ち並び、電波が途切れやすいような場所でも、安全に小型無人機「ドローン」をとばせられる技術を総務省所管の研究機関「情報通信研究機構」(NICT)などが開発した。ドローンをコントロールする電波を別の飛行ロボットに中継させて、絶え間なく電波を届かせる仕組み。障害物に電波が阻まれ、警備などに使うドローンが操縦不能になる危険を回避する。2020年東京五輪でのテロ対策に向けて実用化を目指す。
カメラを備えたドローンを使えば、不審車両を上空から監視したり、人が近づけないような事故現場の様子を撮影したりでき、東京五輪でのテロ対策への応用が期待されている。
ただ都心では、コンクリート製の厚い壁や公園の樹木などの障害物によって電波が途切れ、ドローンが落下する恐れさえあり、運用の安全性に課題があった。
新技術は、ドローンがキャッチできる電波を増やすことで、操縦不能になるリスクを減らしたのが特徴。NICTワイヤレスネットワーク総合研究センター(神奈川県)の三浦龍・上席研究員が、産業技術総合研究所(産総研)などと共同で開発した。
具体的には、操縦者からの電波をドローンに中継する飛行ロボットを複数、上空に展開する。これにより、さまざまな方角や角度から電波を受信できるようにする。ドローンには、最も届きやすい電波を自動的に選択する機能を付け、電波の途切れをなくす。
現段階で、操縦者から半径1~2キロメートルの範囲で飛行ロボットをとばし、半径3キロメートル以内のドローンを操作できるという。