鑑賞眼

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」「権三と助十」 芝居力を満喫

 3部制。第1部は岡本綺堂作の新歌舞伎「権三(ごんざ)と助十」。歌舞伎俳優の芝居力を満喫させる。貧しく行儀悪いが、人情もろい江戸庶民の生活ぶりを漫画のコマのように立体化。幕開き、総勢40人を超える長屋の住人たちがゾロゾロ現れる井戸替えのさまには笑いの汗が噴き出す。駕籠(かご)担(かつ)ぎの中村獅童(しどう)の権三、市川染五郎の助十、中村七之助の権三女房おかんが、おかしさで傑出。中村扇雀(せんじゃく)の傾城(けいせい)八重桐で「嫗山姥(こもちやまんば)」が付く。

 第2部。「東海道中膝栗毛(ひざくりげ)」。歴代、人気俳優が時流に乗せ、歌舞伎の型破りさを工夫してきた国民的喜劇だ。今回は脚本・演出も兼ねる市川猿之助(えんのすけ)の喜多八、染五郎の弥次郎兵衛が初役初コンビで挑む。2人の持ち味を展開に滲(にじ)ませつつ、伊勢参りへの道中が川にはまって鯨の潮に吹き飛ばされ、ラスベガスへ、気づけば伊勢神宮へ。また、道中の道連れとして染五郎の長男、松本金太郎、市川中車(ちゅうしゃ)(香川照之)の長男、團子(だんこ)が主従コンビで通し出演、新鮮かつ立派に若武者ぶりを見せる付録付き。常磐津舞踊「艶紅曙接拙(いろもみじつぎきのふつつか)」が併演。