創業家の代理人を務める浜田卓二郎弁護士によると、創業家は出光株を20%以上持つ株主グループとされ、出光の「特別関係者」に当たる。外形的に会社と「一体」になるという。
経営側の計画では合併に先立ち、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルから昭シェル株の約33.3%を市場外で取得する予定だ。ところが、昭介氏が昭シェル株を取得したことで、「出光関係」の持ち株比率は3分の1を超えてしまい、市場外で取得することはできなくなる。
なぜかというと、「3分の1ルール」に抵触するからだ。金融商品取引法では3分の1超の株式を買い付ける場合は公開買い付け(TOB)を実施しなければならないと規定されている。
買い付けに当たって、TOBしか選択肢がなくなると、経営側にはさまざまな負担がのしかかる。まずは手続きに時間がかかり、来年4月の合併スケジュールの見直しが迫られる可能性が高くなることが考えられる。
さらに痛いのが、買い付け額が増える恐れがあることだ。TOB価格が当初想定した買い取り価格の1株当たり1350円を上回れば負担が膨らむ。ロイヤル・ダッチ・シェル以外でTOBに応募した株主からも昭シェル株を買い取る必要もあり、買い付け総額が当初予定の約1700億円から増える。