「また、田嶋さん」。視察後の報道陣の囲み取材で田嶋氏の姿を確認し、小池氏は表情を緩めた。田嶋氏は2日の就任記者会見でも質問に立っており、この日も「TVタックルです」と質問を始めた。
田嶋氏は今後発足する小池氏肝煎りの都政改革本部で築地移転の膨れ上がる事業費や、反対派などが問題視する豊洲の土壌汚染対策を検証するかを聞き、小池氏から「(テーマに)入ると思っている」との回答を引き出した。さらに「解決できない場合は移転も延期するのか」と踏み込んだ質問を重ねたが、小池氏は「さまざまなご意見をうかがった上で判断する」と述べるにとどめた。
「自身の足で現場を視察する姿勢は好感が持てる」。移転反対派の水産仲卸業者、関戸富夫さんは小池氏の視察をこう評価する。関戸さんは都側が業者に豊洲市場の使い勝手などの説明を十分に行っていないと主張し、「市場関係者と都関係者で同じテーブルに座って意見交換をする必要があるが、11月7日の開場では時間がない」と延期を求める。
市場関係者の間では予定通りの移転を求める声も根強い。
築地東京青果物商業協同組合の泉未紀夫(みきお)理事長によると、豊洲市場で使う店舗の内装工事や冷蔵庫のリースなどの契約を結んだ業者が多い。泉氏は「延期の場合はその期間のリース費用などを誰が負担するのか。引っ越しの計画も練り直すので混乱する」と訴える。
築地市場協会の伊藤淳一副会長も「予定通り移転を実行しなければ全国の生産者にも迷惑がかかる。簡単に延期というわけにはいかない」と強調する。