浪速風

負けて騒がれる

レスリング女子フリースタイル53キロ級 決勝で敗れた涙する吉田沙保里=18日、カリオカアリーナ(撮影・桐山弘太)
レスリング女子フリースタイル53キロ級 決勝で敗れた涙する吉田沙保里=18日、カリオカアリーナ(撮影・桐山弘太)

「勝って騒がれるより、負けて騒がれるようになれよ」。不世出の大横綱双葉山に土をつけ、69連勝でストップさせた安芸ノ海に師匠の出羽海親方がかけた言葉である。この大番狂わせに匹敵するだろう。朝、テレビをつけて目を疑った。準決勝を観戦して、金メダルは間違いないと思って寝たのに。

▶初めて優勝したアテネ五輪から12年。吉田沙保里(さおり)選手はいろんな顔を見せてくれた。国民栄誉賞を受賞してスポーツ界の代表になった。レスリングがオリンピック競技から外されそうになった時には、先頭に立って存続を訴えた。所属した警備保障会社のテレビCMでは、ひょうきんな一面も。

▶五輪と世界選手権の世界大会16連覇は前人未到の記録だ。「霊長類最強」の異名は誇大ではなかった。だから「負けて騒がれる」のである。泣くことはない。まして「申し訳ない」と言うことはない。「絶対女王」を破る相手がいたことで、五輪3連覇の偉業がより輝きを増した。