正論

戦後71年に思う 今の時代、誰が地元の墓を維持するのか、自分の遺骨はだれが供養してくれるのだろうか…転機を迎える日本人の死生観 日本大学教授・先崎彰容

 今、日本では、お墓のあり方に、大きな変化が起きているという。過日のNHK・ETV特集「お墓のゆくえ~弔いの社会史」によれば、多磨霊園にある納骨堂には、昨年、20倍を超える倍率の応募が殺到したのだという。また埼玉県北部のある寺院では、これまでの檀家(だんか)制度を廃止し、永代供養墓を設け、信徒制度に切り替えた。背景には、戦後、急速な高度経済成長を成し遂げた主人公たちが、人生の最終盤をむかえつつあり、社会構造の変化が、死後のあり方にまで影響を与えている事実があった。

 かつて、江戸時代にまで遡(さかのぼ)る檀家制度を支えてきたのは、地元に住み続ける3世代同居の家族の姿であった。墓碑銘の書かれた墓と、そこに納められた遺骨を代々守ることは、家族と寺院の仕事の中心であった。檀家の寄進によって寺は支えられ、死者は眠り、家族の来るのを待っていた。それは日本全国津々浦々に見られるありふれた光景だったのである。

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