五輪卓球

家族の支えでつかんだメダル 卓球男子団体のエース、水谷隼

 団体戦で王者・中国に一矢報いたのは、エースの水谷隼(じゅん)(27)だった。シングルスの銅メダルに続く団体での銀。これまで卓球界の期待を一身に背負ってきたが、それは不安や孤独と隣り合わせだった。

 「国内では勝つのが当たり前。スランプに苦しんだこともあったのだろうが、そのそぶりを見せなかった」。こう話すのは幼少時代の水谷を指導した植松賢治さん(73)。

 ロンドン五輪では個人戦は4回戦で敗退。団体もメダルを逃し、睡眠障害で寝酒を飲むのが日課となった。「プレッシャーで追い詰められていた」。そんな水谷を支えたのが、高校時代に知り合った妻の海那(みな)さん(24)だ。

 自身も卓球選手だった海那さん。だが、家では卓球の話はほとんどせず、ひどい負け方をした時だけ「メンタル崩れたでしょ」などと少しだけちゃかした。専門学校で栄養管理を学び、水谷の体脂肪は減少、持久力の数値も向上した。

 平成26年に長女の茉莉花(まりか)ちゃん(2)が誕生すると、必ず遠征先からテレビ電話を入れ、娘の顔を見たがるようになった。かつてはマイペースと言われた水谷。母、万記子さん(54)は「こんなに子煩悩だとは思わなかった」と驚き、植松さんは「夫となり父となったことで、他者と喜びや痛みを共感できる大きな男になった」と目を細める。

 世界のトップに肩を並べた水谷。しかし決勝後のインタビューでは悔しさをのぞかせ、こう語った。

 「今回のメダルが必ず東京五輪につながると信じています」

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