正論

戦後71年に思う 憲法の平和主義と軍の保持が「並存」するのは世界の常識だ 自衛隊を憲法に明記する発議を 東京基督教大学教授・西岡力 

 ≪軍との並存が世界の常識≫

 比較憲法学の権威である西修氏によると世界の189の憲法典のうち159(84%)に9条1項のような平和主義規定がおかれているという。たとえばイタリア憲法第11条には「イタリアは、他国民の自由に対する攻撃の手段としての、および国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄し」とあり、フィリピン憲法第2条は「(2)フィリピンは国家政策の手段としての戦争を放棄(renounce)し」と規定している。

 しかし、世界の憲法は同時に自衛のための軍の存在を明記している。前掲イタリア憲法は第52条で「(1)祖国の防衛は、市民の神聖な義務である(2)兵役は、法の定める制限および限度内において、義務的である(3)軍隊の編成は、共和国の民主的精神に従う」と定めている。フィリピン憲法第2条も「(3)フィリピンの軍隊は人民と国の防御者である。その目標は国家の主権と国家の領域の統合にある」と軍の存在を明記し、ドイツ基本法や韓国憲法では侵略戦争禁止規定と軍の保持規定が並存している。

 つまり、日本国憲法9条1項の平和主義と軍の保持は矛盾しないどころか、その並存が世界の常識なのだ。ところが、ほぼ唯一、日本だけが9条2項で「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」という戦力不保持規定を持ち、自衛のための最小限の実力組織である自衛隊について、憲法に明文規定を持たない特殊な国となっている。

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