浪速風

名文でつづったチェンジアップ人生

セレモニーに出席した豊田泰光氏=西武ドーム (撮影・小倉元司)
セレモニーに出席した豊田泰光氏=西武ドーム (撮影・小倉元司)

豊田泰光さんが日本経済新聞に連載したコラム「チェンジアップ」は、鋭い切り口と名文で、小欄も愛読者だった。文章は現役引退後に籍を置いたサンケイスポーツで鍛えられた。プロ野球選手だったからと特別扱いせず、記者と同様に取材し、原稿を書かされた。

▶「漢字が思い出せない」と悩んでいると、「トヨさんね、一度も覚えたことがないものは『思い出せない』じゃなくて『知らない』と言うんです」。原稿はデスクの手が入って真っ赤になり、「オレが直したから商品になっているんだよ」と飲み代を払わされた。社会人修業の授業料でもあった。

▶2千安打、200勝が条件の「名球会」に対抗して「千振会」の結成を呼びかけた。自身が初めて千三振に到達し、「振らねば何も起こらない」がポリシーだったが、有資格者にことごとく断られた。本人は直球一本というが、やはりチェンジアップ人生。辛口のご意見番にはもっと長生きしてほしかった。