韓国で9月に施行される「不正請託および金品など授受禁止に関する法律」で食事の接待や贈り物、慶弔費などの上限が厳しく定められることになった。法律名にある請託(便宜供与)などでどんな法律か少々わかりにくいが、ひと言で簡単に表現すれば賄賂禁止法あるいは反腐敗法といったところか。この法律に違反すれば公務員だけでなく私学教員や報道機関の記者も処罰される。接待や贈答などに利用されてきた飲食業界や農畜産業界、花卉(かき)業界などへのダメージが予想されるほか、韓国社会に根付く慣行までも変える可能性がある。法律までつくって汚職や不正腐敗を正そうと乗り出した韓国だが、皮肉にも賄賂文化の根深さを世界に発信することになった。
腐敗が横行
この法律が制定される、きっかけとなったのがベンツ女性検事事件だ。女性検事が在職中に、愛人関係にあった弁護士に担当の刑事事件の情報などを教える見返りに高級車ベンツや高級ブランド、シャネルのバッグなどを受け取ったされる。しかし、最高裁は「(ベンツなどは)、事件の便宜供与の対価ではなく、愛の証」として無罪を言い渡した。