かつては、「メロディーをきっちり届けようと思って、きっちり歌おうとしていた時代もあった」というが、最近は曲より先に詞を作ることも多く、「ライブでもCDでも言葉をちゃんと届けたい」という思いを強くしているという。こうした言葉へのこだわりは、「オメガトライブ時代に康珍化さんや秋元康さんら、素晴らしい作詞家の歌を歌っていたので、歌詞に関しては、自分の中で、ものすごく高い位置にある」という部分から出てきたという。だからデビュー時は「絶対に自分で歌詞なんて書きません、書けませんと思っていた」。それが「徐々に自分で伝えたい言葉があれば、書くのがいいのかなあ」と変わり、「やっと自分が表現すべき言葉が分かってきた。ここ10年ぐらいかな。いや、50歳を過ぎてからかなあ」と笑う。
自ら走ってきたソロでの30年。それは等しく、ファンも同じ時間を過ごしてきたということだ。「聴いてきてくれたみなさんも同じ年月を歩いている。その中でいろんなことがあったと思うけど、良くも悪くもその思い出と付き合いながらこれからも楽しい人生を歩んでいただきたい」と話す杉山。ファンにとっては、そのためにも最新アルバムは必携だろう。これから過ごす年月も、ともに楽しませるよ…。杉山の表情には、そんな自信があふれていた。