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杉山は、バンド「杉山清貴&オメガトライブ」のボーカルとして、昭和58年4月、シングル「SUMMER SUSPICION」でデビュー。作詞・康珍化(63)、作曲・林哲司(66)というコンビによる楽曲で、デビュー曲のほか、「君のハートはマリンブルー」「ふたりの夏物語-NEVER ENDING SUMMER-」「ガラスのPALM TREE」といったヒットを飛ばした。もともとアマチュア時代からバンドを組んでおり、杉山は「みんなの中でワイワイ作りながらやるのが好きだった」という。
バンドはデビューからわずか3年弱で解散した。「バンドのボーカリストがソロになるというと、トラブルがあったとか言われるんですけど…」と杉山は苦笑する。オメガトライブは作詞、作曲も含め、バンドの存在自体が「プロジェクトだったんですよね」と杉山は述懐。「その中で、このプロジェクトにハマっているよりは、自分たちがしたいことをしようと思って解散した」というのが真相だ。
杉山は、あくまでもバンドのボーカリストとしての立場を楽しんでいた。「子供の頃から歌手になりたかったとかいう人もいますが、僕の場合はただバンドが好きでバンドをやっていただけ」。だからこそ、解散後は「新しいバンドでもつくろうかな、という軽いノリでいた」と気楽に構えていた。
ところが現実はそうはいかなかった。レコード会社などとの間に契約が残っていることも知らずに、杉山清貴&オメガトライブは解散したのだった。結果、その代償としてソロデビューすることになった。
ソロデビューの覚悟というよりは「え、俺、ソロアーティストやるの?」と驚きの方が強かったという。