古森義久のあめりかノート

尖閣事態を米国識者は「日本の国家危機」とみている

 8月に入っての尖閣諸島(沖縄県石垣市)海域での中国の威圧行動の急拡大は、日本の安全保障や日米同盟の今後になにを意味するのか。米国側で中国の海洋戦略を一貫して研究する官民4人の専門家に尋ねてみた。

 中国の今回の動きは尖閣奪取にとどまらず、東シナ海全体への覇権を目指す野心的目標への新展開だとみる点ではほぼ共通する見解が返ってきた。

 「中国の最近の尖閣海域での動きは明らかに日本を威圧する作戦の新たなエスカレーションであり、日本を領土問題での2国間協議に引き出すことが当面の狙いだろう」

 米海軍大学の中国海洋研究所のピーター・ダットン所長はこう述べた上で、「米国の当面の役割は軍事衝突を抑止することだ」という表現で、いまの尖閣情勢が軍事衝突に発展する危険を重くみていることを示唆した。

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