主張

終戦の日 先人への礼欠かぬ和解を 「譲れぬ価値」再確認する時だ

 ただし、演説に対し「日本側に責任があることを明確にした」(バイデン副大統領)との評価があった点も見逃せない。

 中国とロシアはもっと露骨だ。「戦勝記念日」などを通じ、日本の戦争責任を強調した。戦勝国と敗者の壁は厳然と残っている。

 世界遺産登録など文化に関する分野でも、中国や韓国は日本への歴史戦攻撃の手を緩めない。

 安倍首相が唱えた「戦後レジームからの脱却」というフレーズは、すっかり影を潜めている。

 9年前の所信表明演説では、教育制度などの国内改革に重きを置く形で語った。だが、その真意が敗戦国から脱却し、国際社会で名誉ある地位を勝ち取ることにあったのは疑いないだろう。

 公布から70年を迎える現行憲法の改正が重要なのは、自国の防衛に責任を果たし得ない状態を放置してきたような、政治的呪縛からの解放を意味するからである。

 軍事力を背景とした中国の増長や北朝鮮の暴走によって、日米同盟はより疑いなく死活的なものになっている。ただし、この重要な同盟には、相対的かつ流動的な側面があり、それが拡大していることに留意すべきだ。

 米大統領選を通じ、日米同盟の優先度は米側において低下する懸念が生じている。

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