五輪卓球

15歳伊藤美誠が躍動、「先輩を手ぶらで帰らせない」

 初めて娘にボールを出したとき美乃りさんは驚いた。

 「しっかりとしたスタンスから打ち返してきた。とんでもない才能だと。私の選手生命は終わった」

 卓球台をリビングに置いた。美乃りさんは「鬼」といわれるほど指導し、幼稚園時代でも1日最低4時間は練習に打ち込ませた。心理学を研究する大学教授のもとに連れて行ったことも。美乃りさんは「モンスターのような選手に育てたかった」と豪語する。

 覚悟が必要だった。海外遠征にはお金がかかる。美乃りさんは郵便局の仕事など3つのアルバイトを掛け持ちしたこともあった。

 親の熱意が通じ、伊藤も小学生の頃から「20歳で2020年の五輪で金メダルを取る」と言い続けてきた。

 ロンドン五輪銀メダリストの平野早矢香さん(31)が初めて試合したのは2年前。伊藤に1度負けてしまった。「本当に堂々としていて、中学生が全日本レベルを相手に試合するなんて不可能。これはすごい力だと思った」と語る。

 ロンドン五輪に続く2大会連続メダルまであと一歩になった。伊藤は力強くこう言った。

 「先輩2人を手ぶらで帰らせるわけにいかない」