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ベンツとBMWが、日本のメーカーに先んじて、車を置かないヴァーチャルショールームや超巨大な体験型販売拠点を日本に設けたのは、新たな取り組みを通じて若者など新規顧客の掘り起こしが進められるとみているからだ。両社の顧客層は、中高年の富裕層が多く、しかも「指名買い」が多い。ただ、ベンツ、BMWに乗ることをステータスとするこうした購買層に対し、そもそも車自体への関心が薄い若年層へのアプローチには苦慮しており、こうした潜在顧客にどう訴求するかが日本事業の今後を左右しかねない状況にある。そこで、両社は、新たな売り方へのチャレンジに活路を求めたというわけだ。ベンツの場合は書店に立ち寄ったついでに車両をみてもらい、BMWは実際に多くの車種に乗ってもらうという、手法は異なるが車のカッコ良さを存分にアピールする取り組みを通じて、来店客に心底ほれこんでもらい、新車販売の拡大につなげる考えだ。(今井裕治)