ドイツを代表する2大高級車メーカーが日本で正反対な新車の売り方に乗り出した。メルセデス・ベンツは東京都内の書店内に、VR(仮想現実)でクルマの外観や内装を確認できるショールームを開設。BMWは、グループのほとんど全車種を一つの施設内で試し乗りできる初の販売拠点を都内に新設した。ドイツの永遠のライバル同士が車の魅力訴求に「仮想」と「現実」という真逆のアプローチを使って、日本を舞台にガチンコ勝負だ。
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ベンツの日本法人「メルセデス・ベンツ日本」は7月13日、東京都渋谷区の代官山蔦屋書店の店舗内に車を置かないショールームをオープンした。書籍売り場に併設されたラウンジに担当者が常駐。来場客には専用のゴーグルを装着してもらい、VR空間で車の内外装をチェックしてもらう。 そこで興味をもった客には同店の駐車場に用意された車両への試乗を薦め、最終的には販売店へと誘導するという実験的な取り組みだ。今回、ベンツが、車を置かない仮想ショールームを設けたのは、もっと気軽に車両へ接してもらう機会を増やす狙いからだ。ベンツの国内の販売店は顧客に「敷居が高い」(ベンツ日本の上野金太郎社長)と思われていることが多いといい、実際にジーンズにTシャツでは入りにくい。顧客に気楽に来店してもらえるよう、すでにベンツは東京・六本木と大阪・梅田に車を展示するだけのカフェをオープンしており、今回の仮想ショールーム開設もその流れの一環だ。とくに仮想店舗は、限られたスペースでも展開が可能なため、今回の取り組みが一定の成果を上げれば、他の施設にも同様ショールームを設置する可能性があるという。