浪速風

戦没者を思う夏

無人探査機で撮影された戦艦「大和」の菊の紋章=鹿児島県沖(呉市提供)
無人探査機で撮影された戦艦「大和」の菊の紋章=鹿児島県沖(呉市提供)

近くの霊園に、先端が四角錐になった墓石がいくつもある。奥都城(おくつき)=または奥津城=と呼ばれる神道形式の墓で、旧陸軍のマークである星印がつけられ、戦没者を祀(まつ)っている。縁もゆかりもないが、手を合わせて、戦後71年をどのような思いで見つめてきたのかと考える。

▶戦没学生の遺稿集「きけわだつみのこえ」を読むと、意に反して戦場に送られた無念が伝わってくる。が、「些(いささか)かなりとも意義を見出して死のうと心をくだく者と、その苦しみの純度において、悲惨さにおいて根本的な違いあるであろうか。これを戦争肯定と非難する人は、それではどのように振舞うべきであったのか、教えてもらいたい」。

▶「戦艦大和ノ最期」で知られる吉田満は、大意このように書いた。我々もそろそろ、戦後に植え付けられた固定観念から脱すべきではないか。戦争は間違いだったとしても、国のため、家族のため、未来の礎になろうと散った人々がいる。それを思う夏である。