【産経抄】山男に惚れるより 8月11日(1/2ページ) - 産経ニュース

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産経抄

山男に惚れるより 8月11日

 男声四重合唱団のダークダックスが、「山男の歌」を発売したのは、昭和37(1962)年である。3年前に始まった深田久弥(きゅうや)による山岳エッセー「日本百名山」の雑誌連載も、評判を呼んでいた。当時は、戦後最初の登山ブームのピークを迎えていた。

 ▼この曲は戦後すぐ、南アルプスを縦走中だった専門学校生の神保信雄が、海軍兵学校の愛唱歌「巡航節」に替え歌をつけて生まれたものだ。ダークダックスの「ゲタさん」こと、喜早哲(きそうてつ)さんによると、前橋市でのコンサートを終え宿舎に帰る途中、観客の一人から教わった。

 ▼最大のヒット曲でありながら、レコーディングでは「一番気が乗らなかった」。今年3月に85歳で亡くなった喜早さんは語っていた(『日本の美しい歌』)。「娘さんよく聞けよ 山男にゃ惚(ほ)れるなよ」。その理由の一つに、山での遭難死を挙げているからだ。

 ▼2年前に制定された祝日の「山の日」を今日、初めて迎えた。最近では、「山男」より「山そのもの」に惚れる若い女性が増えている。現在の登山ブームを支えているのは、こうした「山ガール」と中高年の愛好者である。