主張

山の日 登るもよし眺めるもよし

 気象の急変のように自然はどんな脅威をもたらすか分からない。条例で登山届の提出を義務づけるなど自治体の取り組みも進んでいるが、登山者自身が安全に対する自覚を深めることが何よりの備えであるのは言うまでもない。

 登るだけでなく眺めるのも大切な山の楽しみ方だ。夏には緑が滴り、秋には錦を織りなすというふうに、山は四季折々で変化に富んだ姿を見せてくれる。日本ならではの贅沢(ぜいたく)を存分に味わいたい。

 また、わが国には古く、山は神の住むところとする観念があった。目には見えない霊威に触れてきた先人に思いを寄せたりしながら、山を仰ぎ、ときには山に分け入ってみるのも意義深いことかもしれない。

 お盆の帰省では、懐かしい山を目にしたときに初めて「帰郷」を実感するという人は多いだろう。石川啄木は「ふるさとの山はありがたきかな」とうたったが、さて、あなたの心の中に聳(そび)えているのはどんな山だろうか。

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