2年前の祝日法改正で8月11日と定められた「山の日」を初めて迎えた。祝日はこれで年16日に増えた。
制定にあたっては「日付の根拠が曖昧だ」「祝日が多すぎる」といった反対の声もあったが、学校の授業時間や経済活動への影響などを考慮し、夏休み中で盆休みにも近いこの日が選ばれた。
わが国は周りを海に囲まれた海洋国であると同時に、国土の約4分の3が山地や丘陵地で占められる「山国」でもある。
古来、日本人が山林の恵みによって木の文化を育み、山を信仰の対象ともしてきた歴史に鑑みれば、「海の日」(7月の第3月曜日)と同じように山の日があってもよいと考える国民は、決して少なくはないと思われる。
法には「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」とうたわれている。山とともに生活してきた日本人にとって極めて意味のある趣旨ではなかろうか。
昨今は「山ガール」と呼ばれる若い女性や中高年の愛好者が増え、登山ブームが続いている。健康づくりや自然体験の面では歓迎すべきことながら、一方で遭難が増えているのは残念だ。
警察庁がまとめた昨年中の山岳遭難は件数、遭難者、死者・行方不明者ともに、統計の残る昭和36年以降で最悪の数値となった。