衝撃事件の核心

「月13万円」弟に介護託した姉 「認知症」で真意は薮の中…ドロドロ法廷闘争の行方は

姉の「真情」とは

たしかに家裁が指摘するように、姉は食事や入浴介助など実質的な介護は施設職員から受けていた。弟がやっていたことといえば、毎日2回施設に通って姉に声をかけたり、おやつを一緒に食べて眠りにつくまで一緒にいたりするといった精神的なサポートだった。

訴訟でもこの点は争いになり、姉側は「見舞いのレベルを超えて、報酬が発生するようなものではない」と主張。弟側は「唯一の親族が寄り添い、孤独感を与えないようにすることには施設介護とは異なる効果がある」と訴えた。

さらに弟側は、経緯を知るA弁護士の陳述書を提出。その中でA弁護士は支払いの「一旦停止」には応じたが、将来にわたって支払わないという「契約の変更」には合意していないとし、こう記した。

「姉の弟を思う気持ちが踏みにじられている。家裁の行きすぎた監督権の発動であり、姉の真情を尊重してほしい」

真情とは何だったのか。答えは、姉が施設入所前にB弁護士に送った1通の手紙にあった。介護の報酬として弟への金銭支払いをお願いしたうえで「感謝のしるしですが、姉弟間の扶養義務履行の一環として、弟の生活費の不足に充ててもらうためでもあります」と書いていた。

弟に金銭的な援助をしてやりたいという姉の〝親心〟が垣間見える内容だが、生活費の話は「弟の自尊心を尊重した」(A弁護士)という理由で、姉と弟が交わした契約書には明記されていなかったという。

迎えた今年5月の大阪地裁判決。家裁から再検討を指示された任意後見人やA弁護士が支払いを停止したことは、契約書の条項(3)に基づき、「姉が月13万円の支払いをしないという内容に変更したと認められる」と判断、弟の請求を棄却した。

弟は判決を不服として、大阪高裁に控訴した。

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