五輪体操男子

歴史刻む連覇…「人生でこんな苦しんだ試合は初めて」絶対王者・内村の母が逆転勝利に涙

体操男子個人総合 日の丸を手にスタンドから声援を送る内村航平の母、周子さん(中央)=10日、リオ五輪アリーナ(大橋純人撮影)
体操男子個人総合 日の丸を手にスタンドから声援を送る内村航平の母、周子さん(中央)=10日、リオ五輪アリーナ(大橋純人撮影)

 「絶対王者」が、どん欲に2つめの頂点を狙った。リオデジャネイロ五輪男子体操個人総合で、2大会連続の金メダルに輝いた内村航平(27)。「良い演技で一番いいメダルを取れた。本当に幸せ者だと思う」。同種目で、ロンドン五輪に続く連覇を達成。体操史に輝かしい歴史を残してきたエースが、逆転勝利で新たな1ページを刻んだ。

 クライマックスの鉄棒。ミスが許されないプレッシャーの中、難易度の高い技を次々と決め、最後は見事な着地で締めくくった。「航平、OKだ!」。スタンドで見守った母親の周子さんらは立ち上がり、力強い握手を交わした。

 19歳で出場した北京五輪の個人総合では銀、4年後のロンドンでは悲願の金を手に入れた内村。世界選手権でも2009年以降は個人総合で6連覇を果たすなど、敵なしの状態でリオに乗り込んだ。

 「ブラジル!ブラジル!」。この日、地元選手が演技に向かうたび、割れんばかりの大声援が五輪アリーナにこだました。それでも内村はじっと目をつむり、集中力を研ぎ澄ませていた。

 「団体でほしかった金を取ったので、個人総合はどんな結果になっても受け止めようと思っていた」と周子さん。最終種目の鉄棒を残してトップだったオレグ・ベルニャエフ(ウクライナ)を追う展開となり、周子さんも落ち着かない様子を見せていた。

 しかし内村は最後の鉄棒で逆転し、金メダルを獲得。「ウチムラ、ナンバーワン!」。会場に詰めかけたカリオカ(リオっ子)も総立ちで拍手を送っていた。

 劇的な幕切れに、周子さんは「私たちも十分苦しんだ。見ていて、人生の中でこんなに苦しんだことはないよ」と目を赤くしていた。 (リオデジャネイロ 細田裕也)