中国、メイ英政権に「警告」 原発建設への参加、見直し方針に反発 駐英大使が大手紙に寄稿

 【上海=河崎真澄】中国の劉暁明駐英大使は9日付の英紙フィナンシャル・タイムズ(アジア版)への寄稿で、中国から出資を受ける計画だった英国での原発建設をメイ英政権が見直す方針を示したことに対し、「中英の相互信頼関係が試される」などと指摘し、予定通り進めるようクギを刺した。中国メディアはこれを「警告」と報じ、対中警戒感を示したメイ政権を強く牽制(けんせい)した。

 習近平国家主席が昨年10月に訪英した際、南西部のヒンクリー・ポイント原発建設計画に国有の中国広核集団が約60億ポンド(約8000億円)を投資するほか、東部ブラッドウェル原発に中国製の原発「華竜1号」を輸出することで、キャメロン前首相と合意していた。

 実現すれば、中国にとって欧州の原発計画に初参加する案件となる。だが、欧州連合(EU)からの英離脱を決めた国民投票の後に就任したメイ首相は、安全保障上の懸念を示してヒンクリー・ポイント原発への中国の関与に待ったをかけ、最終承認を秋に持ち越す方針を示した。

 劉氏は寄稿で、「まさに今こそ中英関係は重大な歴史的岐路にある」と強調し、メイ政権に早期承認を迫った。中国メディアは原発計画が撤回されれば、合意ずみの総額約400億ポンド(約5兆3000億円)の対英投資にも影響するとして、再考を求めている。

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