正論

戦後71年に思う 法を守る者は愚か者、リアリストを尊重…ロシアの本質を知り政策再考を 新潟県立大学教授・袴田茂樹

 戦後71年にあたり、ロシア問題に関して単なる現象面ではなく本質から考えたい。

≪法律意識の根本的な違い≫

 今日のドーピング問題だが、世界反ドーピング機関(WADA)も、これは単なる選手個人ではなくロシア連邦保安局(FSB)など国ぐるみの問題だと指摘した。メディア上では「ドーピング文化が国ぐるみで深く根付くロシア」「ドーピング問題は汚職と結びつき、賄賂と汚職がロシア文化となっている」「勝利のためには手段を選ばない文化がロシアには根付いている」といった、ロシアにとって不名誉な言葉が躍った。

 問題は規律とか法に対するロシア伝統の社会心理そのものに深く関係している。したがって、それは政治や社会のあらゆる面に深刻な影響を及ぼしている。「クリミア併合」とか北方領土問題などロシアの外交政策にも、この文化はもろに反映している。

 私はソ連時代数年間モスクワで生活し、日本とロシアにおける規律感覚、法意識の根本的な違いに気付いていた。一言で説明すると、日本国民は規則や法を律義に守る。しかしロシアでは「規則とか法律は潜(くぐ)り抜けるのが生活の知恵」と心得、それらを律義に守る者を愚か者扱いする。この心理の背景だが、歴史的に帝政時代から今日に至るまで、規則や法律はお上が自分の都合で民衆に押し付けるものとみているからだ。