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韓国の全羅北道群山(グンサン)市とソウル近郊の仁川(インチョン)広域市には共通点がある。ともに19世紀に開港し、戦前から華僑が居住するなど、中国との関係が深いことだ。今回は、韓国の中の「中国」を探訪する。(群山、仁川 藤本欣也、写真も)
群山市内でタクシーに乗り、行く先の薬局名を伝えると、50代ぐらいの運転手は顔をほころばせた。
「知っていますよ。子供のころ、薬を買いに行ったものです。懐かしいなあ」
小さな商店街に「中国長壽堂薬局」はあった。店長で群山華僑協会会長の★(刑のつくりがおおざと)広義氏(70)が店の外で待っていてくれた。
1945年、中国山東省栄成市で生まれ、家族とともにソウル近郊の仁川に移住。5歳のとき、朝鮮戦争の戦火を逃れて群山にやってきた。大学の薬学部を出て71年から店を経営している。
「チャイナドレスを着るのも結婚式のときぐらい。普段の生活で自分が華僑だと意識することはないわ」