田中靖人の中国軍事情勢

誤射でバレてしまった台湾製「空母キラー」ミサイルの驚きの高性能とは? 威力は世界最強かも

陰謀よりひどい実態

 海軍は当初から「人為的なミスが原因」としていたが、その後の調査や報道で、単なるミスに止まらない、安全管理や発射手順を軽視した規律の緩みが次々に明らかになった。

 実際に発射してしまったのは、34歳の「ミサイル操作手」。陸軍の軍曹に相当する「中士」の階級のこの下士官は、操作手になって3年で初めての戦闘能力試験を前に、手順を復習したいと申し出た。緊張で寝不足のまま発射管制装置がある「戦闘情報室」に入室。手順を確認していたところ、誤って装置を実戦で使用する「発射モード」にした上で、目標地点の座標を軍の訓練水域がある澎湖諸島沖として入力、発射ボタンを押してしまったという。この間、上官の発射管制士官長(曹長)は席を外し、戦闘情報室には操作手1人しかいなかった。

 発射装置にカギを挿したまま上官が不在にしたことに加え、通常の手順と異なり、甲板に設置されたミサイル発射機4基全てに電源コードを挿したままになっていたことで、発射できる状態になっていたことが判明。海軍は直ちに海軍司令や艦長ら7人の処分を発表し、司法当局に捜査を委ねた。

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