新潟県議会委、知事の対応批判 フェリー契約問題

 県が主導する日本海横断航路計画で使う中古フェリーの購入に絡む契約トラブルを調べるため、県議会の建設公安委員会が5日開かれた。泉田裕彦知事ら県側が質疑に応じ、県はトラブルを起こした会社の親会社への出資者としての立場にとどまり、船の選定などへの関与を否定した。契約を結んだ当事者ではなくトラブルの責任はないとする県の姿勢に対し、委員からは「出資者の立場の重要さを認識していない」と厳しい意見が出た。

 県は、買い主のナフジェイ・パナマの親会社で県の第三セクター、新潟国際海運(新潟市)に3億円を出資している筆頭株主。泉田知事は「出資者の責任を痛感し、最高責任者としてお詫びする」と陳謝したが、県側の責任に関しては「事実関係を見極めた上で自らの処分、県として最大限の措置を取ることで責任を果たしたい」とした。

 トラブルについては「きつねにつままれた感じだ」とした上で「問題点を解消せず契約を結んだ理由が分からない」と疑問を呈した。また、契約対象のフェリーについては「事務当局からは問題点の報告はなかった」と説明した。

 担当する交通政策局の桐生裕子局長がフェリーの調達過程などを説明。当時、試験運航の未実施に懸念を示したとし「もっと(注意を)徹底すればよかった」と対応のまずさを認めた。

 柄沢正三委員(自民党県連幹事長)が「検船など重要な場面で県が関与している」と指摘すると、桐生局長は「売買契約の当事者でなく限界がある」とした。契約に関し「知事からの指示はなかった」と答えた。

 県側の説明に、志田邦男委員(公明党)は「出資の重大性が感じられない」と批判。県の責任者について、桐生局長は「4月に退任された森邦雄副知事(当時)が昨年まで陣頭指揮をとっていた」と説明した。

 パナマと新潟国際海運の社長を務める五十嵐純夫氏が参考人として出席。柄沢委員は「修繕費がかさみ、時間がかかっても(十分な状況で)契約するのが筋。甘すぎた契約」と指摘し、五十嵐社長も「私の判断が甘かった」と認めた。県に救済を求めるかについて、五十嵐社長は「全く考えていない」とした。

 パナマは韓国企業のソドン・マリタイムとフェリーの売買契約を結んだものの、速度不足を理由に受け取りを拒否。しかし日本海運集会所が7月5日付の仲裁判断で約1億6千万円の支払いを命じた。新潟国際海運はパナマの清算を決め、支払いに応じておらず、ソドンは法的措置も辞さない構えをみせている。

 泉田知事の常任委出席は就任以来初。県議会閉会中の常任委開催は12年ぶりで、異例の対応となった。

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