安倍晋三内閣の再改造で拉致問題担当相は加藤勝信氏が続投し、「1億総活躍」に加え「働き方改革」担当相を新たに兼務することになった。
安倍政権にとって拉致問題の優先順位は低いものだと、誤ったメッセージとならないか。
そう受け取られれば、北朝鮮は動かない。政府は拉致被害者全員の即時帰国を迫る強い姿勢を示すべきである。
拉致問題は膠着(こうちゃく)している。
北朝鮮は今年2月、拉致被害者の再調査を約束した「特別調査委員会」を解体すると一方的に表明した。
核実験と長距離弾道ミサイルの発射に対し、日本が独自制裁を強化したことへの対抗措置という。自らの犯罪行為を交渉材料に、うそや引き延ばしで経済支援を求めるのは常套(じょうとう)手段である。
政府は「対話と圧力」「行動対行動」の対北朝鮮外交の原則を堅持すべきだ。弱腰や安易な妥協をみせれば新たな要求を呼び、全面解決を遠のかせる。
拉致問題は安倍内閣の最重要課題であるはずだ。
とりわけ拉致担当相には、解決への断固たる決意をみせる象徴的な立場として対外発信力が問われる。被害者家族からの信任を得て不安を払拭する責務も重い。