リオ五輪

警察とギャングが密約も 異常に悪い治安

リオ北部に広がるファベーラ「コンプレクソ・ド・アレマン」。山肌にへばり付くように無数の家が並ぶ=リオデジャネイロ(撮影・甘利慈)
リオ北部に広がるファベーラ「コンプレクソ・ド・アレマン」。山肌にへばり付くように無数の家が並ぶ=リオデジャネイロ(撮影・甘利慈)

 体感治安が異常に悪い。道を歩いていてもパトカーのサイレンがうるさいし、競技場では爆弾騒ぎで一時退避する事態もあった。イラクのテロ現場やネパールの大地震など、危険な地域の海外取材は何度か経験があるが、これほどとは思わなかった。

 原因はブラジルの景気低迷と貧富の格差。悪名高きファベーラ(貧民街)がリオに約1千カ所もある。犯罪者がファベーラに逃げ込んだら?と聞くと、警察官は「現金程度の窃盗だったら踏み込まない。被害がそれだけでは済まなくなる」と困り顔。警察の権限が及ばない無法地帯だ。

 まことしやかに噂されているのが、警察当局とギャングの密約。ファベーラに巣くうギャングが、違法薬物取引などを見逃してもらえる代わりに、「五輪期間中はおとなしくしてほしい」と当局が要請したというのだ。

 東京五輪でもテロに対する警戒は必要だが、「史上最も危険」とされるリオとは比べるべくもない。外を歩くたびに、周りをきょろきょろ警戒しなくても済む東京が早くも恋しくなった。(天野健作)