東京都の新しい知事に防衛相などを務めた小池百合子前衆院議員が選ばれた。
高い知名度を背景に選挙戦を優位に戦い、自公両党や民進など野党4党が組織戦を展開した2人の候補を圧倒した。
功を奏したのは、自民党都連との対立を強調し、都政刷新を望む無党派層に浸透を図る戦術だった。
約1100万人の有権者を相手にする都知事選は「人気投票」となる要素が大きい。他の有力候補は「劇場型」選挙に対して十分な存在感を示せなかった。
ただし、山積する都政の課題の解決は、こうした手法が通用するほど簡単なものではない。
都民の暮らしと安全を守る知事本来の職責を全うすることはもとより、首都の「顔」として魅力ある東京を目指すことに、最善の方法を模索してもらいたい。
待機児童問題の解消を含む少子高齢化対策では、実効性のある政策の展開が急がれる。首都直下地震への耐震・不燃化対策も加速しなければならない。
2020(平成32)年の東京五輪・パラリンピックの成功に向けて、準備作業に残された時間は多くない。都や国、大会組織委員会による五輪会場整備費の分担見直し問題も未解決の状態だ。