正論

必修化盛られた小学校のプログラミング教育の問題点とは 同志社大学教授・三木光範

 プログラミング教育の必修化の目的である論理的思考や、主体的に創造力を発揮して何かに取り組む能力を養うことは、従来の算数や理科などの教科の中で十分に達成可能であり、それができないとすれば、プログラミング教育で補うのではなく、各教科での教育内容を論理的思考を養い、主体的に考えるように工夫すべきである。

 次に、情報を操る能力の涵養(かんよう)であるが、これは教えなくても若者がスマートフォンを自在に操っていることを考えると、まったく心配する必要はない。小学生がタブレットを自在に操り、理科の時間にインターネットから得た動植物の写真を見ることや、動物の動きを観察することは大いに推進すべきである。しかし、この場合でも、動物園、水族館、あるいは植物園などで実物を見て、思考することが重要である。

 ≪人は不思議さに心動く≫

 たとえば、アリの動きを長時間観察することや、植物の成長を太陽や水との関係で観察することなどから得られるものは非常に多いが、ゲームやアニメーションのような仮想現実から身の周りの世界を認識することはできない。人は現実世界から得られる全ての感覚情報を基に現実世界を認識し、その奥深さに興味が湧き、好奇心が育つ。何が起きるか分からない、あるいは想定していたことが生じないという不思議さに人は心を動かされ、行動する。

会員限定記事会員サービス詳細