正論

必修化盛られた小学校のプログラミング教育の問題点とは 同志社大学教授・三木光範

 コンピューターを動作させる人工的な言語であるプログラミング言語は、論理的な考えができる頭の良い人であれば、大学からでも、社会に出てからでも、必要に応じて勉強すれば、誰でも習得できる。私の所属する学科は情報系であり、卒業生の多くはコンピューターのシステムエンジニアになる。しかし卒業生の話を聞くと、たとえ文学部出身でも工学部の化学系出身でも、優秀な人はプログラミングが初めてであってもすぐに上達するという。プログラミングは文法が厳格に決まっており、合理的な理解力があれば、いつでも学ぶことができる。このため小中学校で必修とする必要はない。

 一方、日本語を読み、書き、話すこと、ボール投げなどの運動能力を養うこと、絵を描く・歌を歌うことなどの視覚や聴覚を基に手や喉を操ること、あるいは植物や動物を観察して自然の成り立ちを考えるなど、それぞれの学びには最適な年齢がある。

 ≪仮想現実で得られないもの≫

 子供が積み木で遊ぶことは、木材の手触り、大きさと重さの関係、構造物の安定性などを感覚と経験(記憶)で学ぶ。このとき、コンピューター上でマウスを使って積み木をすることは現実世界の理解を妨げることであり、感覚でそれらを学ぶ大切な機会を逃すことになる。

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