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南米・ペルーとブラジルの国境周辺の密林に、いまだ西洋文明社会との交流を持たない先住民族がいる。現地では、「隔絶された人々」という意味の「イゾラド」と呼ばれているという。年々減少するイゾラドの一家族に、NHK取材班が直接接触した映像が、8月7日放送のNHKスペシャル「大アマゾン 最後の秘境」の第4集「最後のイゾラド 森の果て 未知の人々」(総合、午後9時)で放送される。イゾラドの人たちが「文明側」に姿を現すようになったのは、ここ最近のことだという。いったいなぜなのか。(本間英士)
土地開発で追われた
「森に猟に入った若者が弓矢で腹を射貫かれた」「イゾラドの集団に取り囲まれた村からSOSが発信された」…。近年、ペルーの奥地でイゾラドの目撃情報が相次いでいる。
イゾラドはもともと、アマゾンの奥地に住んでいた狩猟民族のこと。西洋文明との接触を持たず、独自の文化や精霊信仰を持つ人たちだ。だが、近年はブラジルの土地開発を受け、ブラジル側に住んでいたイゾラドの人々がペルー側に移動。そこで、現地のペルー人、つまり文明側の住民との衝突が起きた。死者も出ているという。
現地では基本的に、海外メディアによるイゾラドへの取材は許されていない。そのため、取材班はペルー政府と交渉を重ね、取材許可を取得。イゾラドを監視する複数の最前線基地にテレビ局として初めて滞在し、約1カ月にわたり取材を行った。
現代において、文明に触れていない人々の映像を見る機会は極めて珍しい。この番組の最大の見どころは、そのイゾラドの一家族と取材班が、直接接触した映像だ。撮影された約20分のうち、番組で使われるのは6分程度。一見、平和的な交流に見えるが、その裏で「何が起きるか分からない」といった緊迫感も伝わってくる。