元横綱千代の富士死去

ウルフの愛称で国民的な人気 昭和から平成へ、国技を支え時代を彩った角界のスターが逝った

 横綱に昇進したばかりの頃、師匠の九重親方(元横綱北の富士)から「辞めるときは、すぱっと辞めようぜ」と説かれた最高位に立つ者としての引き際の美学を忠実に守った。

 引退後は九重部屋を継承し、師匠の立場となった。還暦を超えてもなおオーラがあった。上がり座敷にただ座っているだけで、稽古場の雰囲気は張り詰める。弟子を怒鳴りつけることもあったが、ただ厳しいだけではなかった。

 本場所中。関取衆とは積極的にメールでやりとりしていた。絵文字を入れて「良い相撲だったね」と送信することも。殊勲の星を挙げた力士には師匠自ら賞金を出したり、関取全員が勝った日には食事に連れて行ったり。

 千代大海を大関へ育て、現役では千代大龍や千代鳳、千代丸ら、たたき上げから大卒力士までタイプの異なる多くの関取を育て挙げた。飴と鞭を使い分けた指導法には定評があった。

 平成26年の理事候補選で落選した後は、表舞台に出ることは少なかったが、その存在感は最後まで色あせることがなかった。(藤原翔)

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