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災害時におけるリーダーの役割とは? 「公平性」よりも大事なことがある 野口健 

 熊本地震で同県益城(ましき)町にテント村を運営し、約600人の方々を受け入れ、約1カ月半、現場と向き合い続けてきた。テント村が閉鎖されて間もなく2カ月。振り返って感じることは災害時におけるリーダーの役割の大きさだ。テント村は僕の力だけで実現したわけではない。最大の功労者は、岡山県総社市の片岡聡一市長だろう。

 地震3日目に「熊本にテントを持っていきたい」とツイッターにつぶやいたら翌日、片岡市長から「総社市が全面的にサポートする」との連絡が入る。その行動の速さ。片岡市長は、すぐに職員を益城町に派遣し、テント村を設営できる場所探し。そして、西村博則益城町長に対してテント村の説明を行い、設営の許可を取った。

 それだけではない。テント村が運営されている期間、総社市の職員はテント村に延べ64人が滞在し、最前線でさまざまな支援活動を行ってくれた。益城町やボランティア団体との連携、医療班の手配、トイレ掃除、テントの補修作業、入居者の方々の相談にまで丁寧に応じた。なぜ、直接益城町と関係のない総社市がここまで長期的なサポートができたのか。それは東日本大震災の後、「総社市大規模災害被災地支援に関する条例」を定めたからだ。姉妹都市などでなくとも市長の権限で年間1千万円まで、国内どこの災害でも支援活動が可能となったのだ。

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